嘘つきな君からのキス
「ちがっ!今のは!」
明らかにおかしい事だ。話の繋がりも何もない。
それどころか私は怒っていたのに、いきなり告白してしまうだなんて。
「……逢坂」
「何もない!何もないの!」
否定して、身振り手振りで伝える。
伝えて無かったことにしてしまいたかった。いいや、無かったことにしたかった訳ではない。ただ、ただ、恥ずかしかった。
でも最初がどうであれ、付き合っているのだ。ならこれでもよかったのだろうか。
そう思ったのに。
「何もないで終われないよ」
言わなければよかった。聞かなきゃよかった。三神くんみたいに強引になれればよかった。
でも、私はそんな人間じゃなかった。
「ごめん。俺、逢坂のこと好きじゃない」