嘘つきな君からのキス


頭の中がどろどろで、何処にもしがみ付けないようなそんな感覚。

私は一歩一歩後ずさった。その間、三神君の瞳を見つめていたけれど何を考えているのか全くと言って読み取れない。

それが、とてつもなく怖かった。


「ごめん。俺、逢坂のこと好きじゃない」


繰り返す。繰り返す。昨日の言葉。

反響してこだまする。


「みか……三神君は、私の事、好きじゃないって、なのに……なのに……!」


昨日の言葉を消したいが為に声を発してみるも、上手く言えない。

悲しくて、哀しくて、かなしくて。

こんなにも三神君の事が好きだったんだなって。

理由も何もないけれど、いつからか惹かれてしまっていた。


「逢坂、俺……」

「っ――!!ごめっ、ごめんなさい!!!」


何に対して私は謝ったのか。訳もわからず、気づけば私は走り出していた。


「玲雨!?」


朱の声も気にする事ができなかった。



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