嘘つきな君からのキス
何で……何で……!?
三神君が追ってきているのが分かった。
だけどそれは疑問にしかならない。
私の事が好きじゃないなら放っておけばいい。そんな卑屈な言葉を思い浮かべてしまう。
「もう、三神君が分かんない……!」
必死に走りながら呟く。
普段から運動をしない、できない私はもうとっくに限界だった。
そして、三神君に捕まるのも時間の問題だろう。
「逢坂……!」
観念した私は足を止め、大人しく三神君に捕まる事にした。
けれど顔なんて上げない。上げやらない。
「逢坂、何で逃げるの」
ここにきてそんな言葉。聞きたくない。聞きたくなんてなかった。
何もわかっていないと言うのか。