嘘つきな君からのキス


――


「さてさて、れーちゃん。落ち着いた?」


鳴瀬君が買ってきてくれた水をありがたく飲んで、暫く立った頃に問いかけられた。

体のほうは十分過ぎる位、落ち着いた。でも、気持ちなんてそうそう落ち着けない。悲しいようなもやもやした気持ちは消えない。


「……」

「……れーちゃんは、笑顔が一番!なんだけどなあ」


困ったように笑いながら、一息つく。

私だってこんな思いしたくなかった。きっと今、酷い顔をしているんだろうな。


「れーちゃん!」

「わわっ!?」


唐突に私の顔に自らの顔を近づけてくるから驚く。

その光景は先とは違う満面の笑顔。


「だいじょーぶ!三神は、ちゃんとれーちゃんのこと好きだよ」


< 140 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop