嘘つきな君からのキス


好きなのか、好きじゃないのか。

どちらを信じて、どちらを信じなくていいのか。

私には分からない。

だって


「三神くんは、私の事、好き……じゃないって……いっ、たもん……」

「わーー!待って待って泣かないで!」


慌てる鳴瀬くんに反して私はボロボロと涙をこぼしてしまう。

ごめんなさいと呟きながらゴシゴシと目を擦る。

と、不意に頭に優しい感触が触れた。

見れば鳴瀬君が私の頭を撫でていた。


「なるせくん……?」

「三神はね。ちょっと不器用でちょっと変わってて。それでいて嘘吐きな奴だよ」

「……」

「三神の嘘は、嘘の嘘」


いつかも言っていたな、そんなこと。


< 141 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop