嘘つきな君からのキス
悪態も何もつけずに黙りこんでしまう。
これを否定したら、きっともうどうにもできなくなる。なんて、私だって同じようにずるい。
そして醜い程に未練がましい。
「……」
「……」
だから私は逃げる。決断も何もしない方向へ。
黙ったまま、背を向けて立ち去ってしまおうと思った。
それなのに、三神君は不意に零した。
「俺は逢坂の事。好きじゃない」
聞きたくなかった言葉を。昨日の幻聴と重なり合って、心が抉られる。
「っ!!!それは!もう分かってるよ!!三神君は……っ!?」
気づけば、私は反射的に大声を出していた。
罵ってやろう、私だって同じくらいひどい言葉を吐いてやろう。そう思っていた。
けれど、その大声は飲み込まれた。
他でもない。三神君に。