嘘つきな君からのキス
それこそ夢だ。そう、あれは夢なんだ。夢だったとしてもなんて夢を見るんだ私。
そして現実だったとしてもどういう状況になるんだ。
と、身悶えして数分。
「んーー……」
「!!」
すぐ隣で、唸る声が聴こえて身構えた。
身構えた所で、逃げれるわけもなく、どうすることもできない。
かくして、私は息をひそめて、三神君が起きるのを待つのみとなったのだ。
ゆっくり、ゆっくり、きっと目を開いた。何となく感じ取った。
息を吸う音が聞こえた。
「逢坂、起きた?」
次に聞こえたのはそんな問いかけ。
私は答えない。答えれない。
「逢坂?」
だって、ガッチリ抱きしめられてるのは一向に変わらないのだから。
「く、苦しい……」