嘘つきな君からのキス
「あたし、朝ギリギリだから見れなかったんだけどクラスの子達が騒いでたよ。当の本人はいないのにね」
とか何とかを耳の中に一度入れて、また追い出す。
一気に抜け落ちていた記憶が回復すると、捲し立てるように言葉を発した。
「ち……っ!違うの!違う!違うの!」
「な、何が?そんな泣きそうになんなくても……」
気まずいような表情を見てハッと意識が戻る。
落ち着かないけど、私が落ち着かないでどうするの……っ!?
朱には、朱だけには事の真相を知ってもらわないと。例え、クラスの人達への弁解が難しくても。
「あのね……」