嘘つきな君からのキス


「あの……」

「?」


躊躇いがちに言葉を掛け、一つ間を置いてから自分自身に握られた手をほどいて上に。頭の更に上を目指して。


「手、凄く冷たいけど……」


震える手で、三神くんの手に指先が触れた時。


「!!」

「きゃ!?」


その体温を感じるよりも前に、まるで触れて欲しくないかのように私の手が振り払われた。

行き場のないそれを宙にさ迷わせる。三神くんは私と目を合わせず、廊下の方に目を向けていた。


「……みか「俺」」


遮っても尚。


「……保健室行ってくる」

「あ……」


――空の手は空気だけを掴んだ。




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