嘘つきな君からのキス


「だからごめんて」


宥めるように言う姿は悪いと思っているような表情ではない。

鳴瀬くんも気付いたのか先と同じような勢いで窓に食らいついた。


「僕今聞いたよ!?100パーセント悪意だよね!?」

「ノーコンだから仕方ない」


噛み合わない会話の温度。


「え、バッターにもあんの?ある意味才能だよっ」

「窓開いてるのここだけなら、逢坂に当たって……ない?」

「スルー!?」


鳴瀬くんが絡むだけで、いつもの三神くんとはまた違う気がして、可笑しくて。


「……ふっ」


笑う所じゃないのにこの現象には叶わなかった。





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