嘘つきな君からのキス
あーうー、と唸りながら明後日の方向。
元々言うつもりだったのならいいんじゃないのかと思っても事情が違うらしい。
それでも、目で懸命に訴え掛ければ観念したように息を吐いた。
「前置きしておくけど、僕の勘違いだから。一瞬の勘違いだから」
二回同じ事を言い、あくまで否定。
何だか怖くなるも、鳴瀬くんはもう息を吸い上げた為にもう待つだけだった。
「多分……『多分三神はれーちゃんの事好きじゃないよ』って言おうとしたんだ」
「え……?」
「なんてねっ!何言いたかったんだろうねー。そんなわけな……」
言葉が切られるのと、目から滴が落ちるのはほぼ同時だったと思う。
「……あれ?何で?」
現状を理解しているのに感情がついていけていなかった。