嘘つきな君からのキス
そもそも感情なんてものはそこには無いのかもしれない。例えば生理的に出る涙のような。
でもそれだと、今流れる現象に説明がつかないのは分かり切っていた。
「嘘!嘘だから!真に受けないで!」
「ち、違うの!ショックとかじゃないの!自分でもよく分からなくて……」
強めに目を擦り何とか涙を止めようとする。
何度も何度も目を擦り、目が痛くなる手前。
「ふー。何してんの?」
肩に体重が掛かり、頭に何かが乗った。
もう既に何かは判断出来ていて、三神くんが私を後ろから抱き竦めるような形でいるのも分かっていた。
亀の親子のようにのし掛かっているのだ。