嘘つきな君からのキス
私は息をしていなかった。と言えば嘘になるけど、息が詰まりかけていた。
対する三神くんは、先程の表情を一切崩しはせず、視線も離してはくれない。
私はどうしようもなく瞬きを繰り返すばかり。
意識を失う前からそうだ。言ってる事が何もかも唐突で、置き去りにされっぱなし。
何で。どうして。そんな疑問ばかりだ。
答えも大したアクションもしないからか、三神くんは畳み掛けるように言葉を浴びせてきた。
「前々から気になってたんだ。ただ、タイミングが悪いみたいで二人とも常連のくせして会わなくてさ。今日会えたから言った訳だけど……迷惑?」
上目使いがちに此方を見てくる。私が返事をするまで離してくれないんじゃないかと錯覚さえした。
それに対してようやくアクションを起こし、フルフルと躊躇いながら首を横に振った。