嘘つきな君からのキス


そんな中で三神くんを見れば私とは対照的に笑顔だった。目を細めて無防備に笑う。

それを見る度に私の心が晴れやかになる気分だった。

どんな話をしているのかなあ。とか。私といるときとは少し違うのかなあ。とか。


「――笑った顔、好きだなぁ」


とか。


「そっかぁ。僕はれーちゃんの笑った顔の方が好きだけどぉ」

「え?」


突然聞こえた声に振り向けば


「やほーー」


歯を見せてヒラヒラと手を振る鳴瀬くん。

それにも勿論驚いたけれど、問題は私の発言。確実に意識などしていなく、勝手に落ちたあの発言。


「っ~~。や、いっ今のはむぐっ!?」

「しーーっ!玲雨声おっきい。気付かれるよ」


ボリューム落として。と私の口を塞ぎながら言い、角から向こうを伺う。

こんな所、気付かれたらまずい。

危険性を再確認し、コクコクと頷いた。





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