嘘つきな君からのキス


ホラーの話すらも苦手な私は明らかに選択を間違えていた。


「こっちはねー。目玉飛び出してそれ踏んでぐしゃぁってなるような過激なシーンとかあったよー」

「目玉……っ!」


想像してしまってぶるりと震え上がる。


「あと、あれビックリしたよね?ゆずるん」

「どれ?」

「ほら、ベッドで寝返り打った瞬間、目の前に女の人の顔があったの」

「っ!」


どうしよう。聞いただけで話の内容なんて分からないのにもう寝返り打てない。怖い。寝れない。もはや半泣きだ。

聞くだけでも震えてしまう会話に転機を与えたのは朱だった。




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