嘘つきな君からのキス
呼ばれた理由が分からない。
「あの、何か用事だった?」
「二人でいるのに用事いる?」
「えっ!?あ、と……」
いらないのだろうけど、やっぱり私にはまだまだ厳しい。でも、昨日感じた事も嘘じゃない。
「じゃあ、これが用事。今日俺の後つけて楽しかった?」
「!?」
一度だって此方を見られた覚えはなかった。
気付かれてたなんて誰が予想できるか。きっと誰にも出来ない。
「ま、まさか鳴瀬くん……が?」
可能性としては口止めした人しか思い当たらない。
とても軽い様子だった鳴瀬くんを思い出してしまい、もっとちゃんと言っておけばと後悔の念に駆られた。