嘘つきな君からのキス


あ、と後で気付くのも私。


「ち、ちがっ……わないけど!あの、元々は朱が三神くんをつけようって。それで断れなかったのはそうだけど」

「逢坂」

「ひゃわわ!?」

「落ち着け」

「う……」


またやってしまった。また言われてしまった。進歩ない。

しゅんっと落ち込んでいると、聞こえるのは微かな笑い声。


「逢坂が慌ててるの、面白い」


失礼な言葉なのに笑う三神くんに何も言えないのは……笑った顔が好きだから。


「酷い。……ふふっ」


だから私も一緒になって笑った。


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