私の彼氏になってください
「ごめんね、あかねちゃん。せっかく一緒に拓探してくれたのに…」
「あー、いーって別に。でも倉本はドコいんだろーねぇ」
「なんだよ、馬場。お前マサ探してたのかよ?マサならサボるっつって屋上行ったけど」
「え?そーなの?」
「お前…まさか俺探してたのって、マサ探しのついで…とか言わねえよな?」
「………瀬川と一緒にいると思ってただけだよ」
瀬川が『マサ』と呼んでいる倉本は、どーやら屋上で文化祭をサボっているらしい。
まあ、今日ならサボっても誰も何も言わないけどね。
もう出席は取ってあるハズだし。
しっかし、瀬川のヤツ…結構鋭いなぁ。
私の倉本への気持ち知ってるから、魂胆見え見えみたいだし。
「柚、男子ばっかだけどさ、俺うどんおごるからこっから合流ってコトにすっか。10時になったらコイツらハケてもらうから」
「え…?」
「いや、二人の邪魔だから、俺らは向こうで食おうぜー。じゃあな、拓」
「あ、いいのか?悪りいな〜」
瀬川があんなコト言うから、柚がちょっとビビってたじゃん。
そんな柚に瀬川が気付いたかどーかは分かんないけど、瀬川の友達の方が気ぃ遣って席を移動し始めた。
…何か、天然なのか作戦なのか、よく分かんないヤツ……瀬川って。
「だったら私もお邪魔だから、倉本探しに行ってくるよ。瀬川と楽しんでね、柚」
「ありがとう…あかねちゃん。倉本くんと会えるといいね」
「うん!じゃーね〜」
彼氏と一緒にあったかいうどんをすする…かぁ。
あ〜〜〜!
私もそんなコトやってみたい!
できれば倉本と…そんなコトできたらいいのに。
私は柚と瀬川と別れて、倉本とうどんをすする…という妄想を膨らませながら屋上に続く階段をのぼっていった。
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