私の彼氏になってください

―――――
――








「くーーらもとっ!こんなトコで何してんの?」






屋上に着くと、少しポカポカしている日向で倉本が顔に塾の参考書を覆ったまま横になっていた。





私が参考書をサッと取って声をかけると、倉本は無言でしかめっ面を私に向けてきた。






「…んだよ、せっかくいい気持ちで寝てたのに、起こすなよ」



「サボリは良くないよ〜」



「別に朝と昼と帰りに出席取るだけだろ?その時にいれば問題ないし」



「でも年に一度の文化祭だよ?午後はななっぺのステージもあるし、一緒に見に行こーよ」






ななっぺは合唱部に所属していて、もちろん文化祭にもステージで参加している。





今の彼氏の先輩とも、元々は合唱部で一緒だったらしいんだよねぇ。






「細井のステージ?……めんどくせ」



「ちょっと!ななっぺに言い付けるよ?」



「別に俺誘わなくてもいーだろ?馬場なら他に見に行ってくれそうなダチ、いるじゃないか」



「えーっ!?でも同じ勉強会のメンバーとして見に行かないとかどーなの?信じられないんだけど!」






私がそこまで言うと、倉本はめんどくさそうに身体を起こして、まだ眠そうな顔を私に向けてきた。






「…分かったって。あんま騒ぐなよ。ココにいることバレたら、俺だけじゃなくてお前も先生に怒られるぞ」



「あっ、そっか。ごめん……」






でも…



でもでもっ!





今…『分かった』って言ってくれたよね!?





やった!



誘い出し成功!!






「じゃあさぁ、バザーも行こうよ。今日はちょっと寒いし、うどんでも食べてあったまりたいかも〜」






私はさっきの瀬川と柚を思い出した。





今から一緒にうどんをすすろうとしている…仲のいい二人。





あんな風に、私もなりたいよ。





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