私の彼氏になってください
「なんだ、それ。めんどくさ」
「めんどくさくないじゃん。どーせ倉本だって、お昼は食べるんでしょー?」
「…食うけど、何で馬場と食べないといけないんだよ?」
「いや…それは……」
そーやって聞かれると、何て答えたらいーのか分かんないじゃん。
倉本のイジワル。
ちょっと考え込んで黙ってしまったら、私の頭の上に何かが乗った。
ビックリしてその何かを手に取ると、それはさっきまで倉本の顔を覆っていた参考書だった。
「…俺、それ買ったから金無いんだけど。弁当持って来てるし、あったかいコーヒーなら付き合うけど」
「え…?ホント?」
「コーヒーでも喜ぶのかよ。単純な女」
そう言って、倉本の口元が少しほころんだような気がした。
…ヤバイ。
今の、ちょっとドキッとしちゃった。
倉本の笑う顔なんて…貴重すぎるんだもん。
そんなドキドキを隠すように、私は手に持っていた参考書をペラペラとめくった。
だけど、ほとんど分かんない問題ばっかり。
コレ、ホントに中2が解く問題なの?
「倉本、コレ解けるの?私全然分かんないんだけどー」
「まー…解けたり解けなかったり?受験まで1年ちょっとだしな、今からコツコツやんねーと」
「もー受験のコト考えてんの?…コツコツって…、まるで柚みたい……」
「杉田?アイツならこんなのヨユーで解けるんだろーな。ムカつくけど」
柚ならヨユーで解ける!?
何か、レベル高すぎて別世界って感じなんだけど!!
でも…、今、柚のコト『ムカつく』って言った?
好きだったのに???