私の彼氏になってください
「倉本って、柚のコト…ムカついてたの?」
「は?」
「だってさっき、ムカつくって言ってなかった?」
私が参考書を閉じて返しながら倉本にそう聞くと、倉本はイタズラにニヤリと笑った。
「…知ってるんだろ?俺が杉田を好きだったコト。お前ら女子のネットワークはすげーからな」
「あ…、うん。ごめん」
私が倉本の言ったコトをアッサリ認めると、倉本は私にそこに座るように促してきた。
私がその場に腰を下ろすと、倉本もゆっくりと私の隣に座ってきた。
「別に今は好きじゃねーよ。夏休みにハッキリ振られたし」
「うん。それも聞いたよ」
「マジで筒抜けだな。こわっ」
遠くから生徒のざわめきが聞こえてくる。
だけど、二人しかいないこの屋上には、爽やかな風しか吹いてない。
「だから今はムカついてるってゆーの?」
「それは……」
たまに倉本の言葉が理解できない時がある。
好きだったのに…
好きだったのに、その気持ちが「ムカつく」に変化するなんて有り得るの???
すると倉本はふうっと大きなため息をついた。
「馬場……。お前まさか、本気で俺が杉田のコトムカついてるとでも思ってんのか?」
「え?私だってよく分かんないけどさぁ…、振られたから逆ギレ?みたいな?」
「んなわけねーだろ!本気でムカついてたら、俺たぶん勉強会にも出てきてないと思うけど」
「ああ〜、言われてみればそーだよねぇ…」
じゃあ倉本は、本気で柚のコトを嫌ってるわけじゃないの?
やっぱイマイチ分かんないかも。。。