私の彼氏になってください
「倉本…、やっぱななっぺのステージ…いーや。私、別の友達と見るからさっ」
「は?どーした、いきなり」
「いーの。無理矢理付き合ってもらうのもなんか…ねえ?」
「馬場がそー思うならそーすれば?」
「うん、そーするから!じゃーね。コーヒー付き合ってくれてありがと!!」
あまりのショックで、その場から逃げ出したくなった。
けど…、そんな時でも倉本は私を引き留めようとすらしない。
コーヒーの入っていた空き缶を手に、私は猛ダッシュで倉本の座るベンチを離れた。
なんで…
私、倉本のコトを好きになっちゃったんだろ…?
相手にはただの友達にしか思われてない
「何があったのか」と聞いてすらくれない
引き留めてもくれない──。
こんな…、誰がどー考えてもどーしよーもない男…
だけど、嫌いになんてなれない。
「ムカつく」だなんて思えない。
それでも「好き」という気持ちしか増えないんだ。
どーしてなのか、自分でも分からないけれど……。
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