私の彼氏になってください
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結局午後のななっぺのステージは、映美佳とあゆと3人で見た。
二人とも柚と同じクラスなんだけど、勉強会仲間だから、私が混じっても大歓迎してくれた。
映美佳の本名は小谷映美佳(こたに・えみか)。
私や柚と同じ小学校出身。
私も一応小学校の時同じクラスにはなったコトあるんだけど、中学に入るまではそれほど話したコトがなくて…。
元々は柚と親友みたいだったから、そのつながりで仲良くなった。
あゆの本名は、多田歩美(ただ・あゆみ)。
1年の時に同じクラスで、1年の時は柚とななっぺと4人でつるんでたんだよね〜。
映美佳はしっかり者、あゆは男子にも負けないくらいの勝気な性格…ってのが、私の印象かな。
「合唱部のステージ、かなり良かったよね〜。ダンスとかあって、気合い入ってる感じだったし」
「…とか言いながら、あゆ、ちょっと寝てなかった?」
「やっ!そんなコトは……って、映美佳こそ、私の方に集中しちゃってどーすんのよ!?」
「いやいや、肩に何か乗ってるな…と思ってたら、あゆの頭だったからさ……」
「それはゴメン」
はぁ…
私、まだ午前中のコトかなり引きずってるなぁ。
私が猛アピールしてた、この2か月は何だったんだろ……。
「それよりもあかねちゃん!マジでずーーーっっとボーッとしてない?何かあった?体調でも悪いの?」
「……えっ!?」
あゆにいきなり肩を掴まれて、私は突然我に返った。
映美佳とあゆの方を見ると、二人とも私を心配するような真剣な表情。
「そうだよ。いつものあかねちゃんらしくないじゃん。何でも聞くよ?」
『いつもの私』って何…、映美佳?
もちろん親切で言ってくれてるんだろーけど、その言葉が何となく引っかかってしまった。