私の彼氏になってください
―――――
――
バザーで買ったチーズケーキを一口頬張ると、さっぱりした甘さが口いっぱいに広がって、少し気持ちが穏やかになった。
「おいしー。こんな安いのに…どこで仕入れて来たんだろ?」
「PTAの人達の手作りらしいよ〜。意外と凝ってるよねぇ」
私の疑問にそう答えたあゆは、ストロベリーソースの乗ったケーキをフォークで大きく切って、それを丸ごと口の中に入れた。
「うん。こっちのチョコレートケーキも美味しいよ。一口食べてみる?」
「あっ、食べたい食べたい♪映美佳〜、こっちのも一口食べていいよ」
「あかねちゃんのも食べさせてよ」
映美佳はチョコレートケーキを選んでいて、温かい紅茶を口にしながら、私とあゆに自分のケーキを差し出してきた。
一口もらうと、こっちはこっちでおいし〜!!
一通りみんなのケーキの味見が終わったところで、映美佳が私に心配そうな顔を向けてきた。
「あかねちゃん…、やっぱり何かあったんじゃない?もっとケーキでテンション上がるかと思ってたのに」
「えっ?」
「午前中はうちらと行動してなかったのに、急にどうしたの?ななっぺは彼氏と行動しただろうし、まさか一人でいたわけじゃないでしょ?」
「あ……、うん」
なかなか鋭いな…映美佳。
私が一人で行動するわけないこともちゃんと分かってる。
ここまで分かってるなら、相談してみよーかな…。
どーせ映美佳もあゆも、私が倉本を好きなコト、知ってるわけなんだし。