私の彼氏になってください
「えっと…、あのさぁ。私、午前中は倉本といたんだよねぇ…」
「え!?倉本???」
ちょっと驚いた顔をしたのは、また大きなケーキの欠片を口にしたあゆ。
映美佳は紅茶を飲みながら「うんうん」とうなずいてくれた。
「…倉本と何かあったの?」
「うん。それがさー……」
私は午前中の出来事を映美佳とあゆに話した。
一言口を突いて出ると、次々と愚痴に近い言葉が出てきてしまう。
──私の今まで頑張ってきた数か月は何だったんだろ?
──『ただのダチ』で関係が片付けられてしまうくらい、倉本にとっては私なんてどーでも良かったの?
──苦労してななっぺのステージに誘って、それを私から断ったのに、事情も何も聞いてこないなんて。
…やっぱり倉本には、私のコトなんか見えてなかったのかな?
柚を諦めたって知ってから、絶対振り向かせてやるって努力してたのに。
「…なんかさ、倉本らしいよね」
「え?」
あっという間にケーキを食べ終わったあゆが、口を拭きながらそう言った。
…あゆ、ケーキに夢中なのかと思ってたら、ちゃんと話聞いてたのか…。