私の彼氏になってください
―――――
――
「あのさ…俺達が付き合ってるの、しばらく黙っててくれないか?」
「え…?」
そんなコトを倉本から言われたのは、付き合い始めた翌日だった。
倉本が塾に行く前、私は倉本に呼び出されて中学校の近くの人気のない公園で会うことになったんだけど…
まさか、こんな用事で呼びつけられたなんてっ!!
ウキウキしながらやってきたのに…ヒドイよ。
「なんで?私と付き合うの、やっぱ嫌なの?だったら最初から…」
「そーじゃなくて……」
「だって、みんなに知られたくないって、そーゆー意味なんでしょ?」
「違うって、まあ聞けよ!!」
倉本の両手が、私の両肩に乗る。
倉本の顔を見上げると、真剣な表情。
あれ…?
もしかして私、また的外れな妄想してる…???
「明日、塾で大事なテストがあるから。集中したいから、特に拓とか…うるさそうなヤツの耳に入れたくないんだ」
「テスト…?」
「もしかしてもう誰かに報告した?馬場のことだし、しててもおかしくないから遅いかもとは思ったけど」
「あ、ううん。昨日はクリスマスだったし、みんな私の報告どころじゃないかなと思って…」
「それなら良かった。…考えたけど、どーせまた宿題片付けるために勉強会するんだろ?その時に報告した方が手っ取り早くね?一人一人に言うのめんどくさいし」
「あー、確かに。…分かった。倉本の勉強の邪魔は誰にもさせないよ。勉強会まで黙っとくから」
「サンキュー」
そう言うと倉本は微笑んで、私の両肩に乗った手を静かに下ろした。
そして……
私の両手をギュッと握ってきたんだ。
今日は寒かったけど手袋しないで来て正解だったな。
倉本の温かさがダイレクトに伝わってくる。