SugarⅢ
「カバン持ってて」
眉間にシワを寄せている有明は、どうやら軽く怒っているみたいだけど、迫力は全くない。←
「おいあんた、無理矢理女襲うなんてカッコ悪りぃぞ」
「あぁ? なんだお前」
お怒りだよ、いかついお兄さんが。
ちょっとちょっと、有明君よ。そんなに挑発しちゃっていいのかな? あたしは知らないよ。
グッドタイミングに現れてくれたとはいえ、面倒なことは起こされたくない。
だってもし、有明がやられちゃったら、あたしどうすればいいの?
「頑張れ有明」
小さな声でそう言って、有明から渡されたカバンを抱き締めて目をつむる。
ズダン。
そう音がした。
あぁ、倒れているのが有明じゃなくて、いかついお兄さんでありますように。ていうか、そうじゃなかったらあたし困ります。
どうか、ミラクルが起きてますように!
「どした、姫仲。ほら、学校行こうぜ」