熱いキスをして。
たたかれた頬を抑え、力なく座り込む。
私を1発たたいたくらいじゃ優枝の怒りは収まらないのか、優枝はもう1回、次はこぶしを振り上げた。
「……やめろ、優枝っ!!」
__ガンッ
鈍い音が静かな図書室に響き渡った。
……痛くない。
不思議に思い、つぶった目を開く。
目の前は真っ暗で、頭上から、低い声が聞こえた。
「アンナ、大丈夫か?」
「い……く……?」
やっと気づいた。
郁が私の上に覆いかぶさって、守ってくれたって。
「いっ……」
郁は顔を歪ませた。
「郁っ!なんでそんな女かばうのよ!!」
声を荒げた優枝の手には、分厚い本が握られていた。
「……優枝、ごめん……」