天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅦ
トタトタと軽い足音をさせて家の廊下を走る。

辿り着いたのは、ある一室。

「拓ちゃん、拓ちゃん」

いつも一緒の巨大ウサギのぬいぐるみ、五所川原の手でドアをノックする花音。

ぬいぐるみの手でノックする事で、ぽふぽふという奇妙な音が響く。

「ん?」

僅かな間の後でドアが開き、中から橘家次男・橘 拓斗(たちばな たくと)が顔を覗かせた。

「拓ちゃん、花音ちゃんが新作を作ってくれたんだぴょん」

例によって腹話術で五所川原越しに話しかける花音。

「じゃーん!拓ちゃんの空手着に、アップリケをつけてみました!」

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