ピエロ
プロローグ
塗りつぶしたような藍色の
重苦しい湿気をまとった闇の中
一本だけその路地に佇む街灯がチカチカと点滅している
それはまるで壊れかけたスポットライトのようにあたりをぼんやりと照らしている
路地に散らばる錆びついたがらくたたちが鉛色の臭いをあたりに撒き散らしている
雲に隠れていた月がちらりと顔をだす
そこには何もいないかのように見えたが
ふたりの人影が
うきあがる