ピエロ
side:B
まだ、振り向かない背中に向かってニコニコしながら呼び掛ける。
「もっちづっきくーん」
うん。分かってたけど…返事がない。
「もっちー。」
当然ながら返事がない。
グレるぞ。おい。
しょうがないないけど…面白くないけど…
「白。」
「遅いな。」
そういって、フェロモンを垂れ流しながらこちらに振り向いた。少し不機嫌そうだ。
「だって。ちょっと誘われてて。断ってたら、遅くなってさ。ごめん。」
と右目を軽くつぶりながら、謝る。
「だから。迎えに行くといつも言ってるだろ。」
と毎度の如く無表情よろしくで言ってくる。
「いやいや。だからね。俺は、BLACKの所属で。白は、WHITEの所属で。もし、白が来たらパニックになるから。」
相変わらずの無表情。
「いや。BLACKとWHITEの行き来なんて別に珍しいことではないぞ。」
なんか。ちょっと誇らしげに言ってくるけど…
確かにBLACKとWHITEの行き来なんてザラだ。
だって単に学部という仕切りくらいでよくある。
しかし、この白は別格だ。
なんたって、64代会長様であり、WHITEのトップ。
その完璧さなんて、BLACKの連中にとったらコンプレックスでしかない。
しかも、俺のまわりは特に血の気が多い。
行き来が多いとはいえ、その根っこにある確執は学校ができてから現在まで素晴らしく残っているのだ。
めんどくさいね。
「いや。だって…白。会長様だから。俺なんかとつるんでいる。と良くないって騒がれちまうよ。」
俺が、なんていわれようが構わないんだけど…白まで、なんか言われるのは、嫌だからね。
気にせず会いたいけど…
仕方あるまい。