ピエロ
黒板に無事到着した俺はピンクのチョークを左手に持つ。
いやいや。これ高校生できないレベルだろうな。
しかも陰険だな。
うん…イワシらしい色んな意味でナイスセンス。
再びため息を吐き出しチョークを持ちなおす。
そして、ヘッドホンから流れるヘビロテの曲に若干体でリズムを刻みながら黒板をピンクにしていく。
すぅっと答えになるところにアンダーラインをひき、その終わりにカツカツと二つの短めの線をアンダーラインにクロスさせるように引く。
おー。びゅうてぃほぉ。
俺は、ピンクの黒板を見て頷くとまた席に戻ろうとくるっと方向転換した。
それから三歩進んで立ちどまりイワシの方を向く。
そして、口から棒チョコの棒を取り出すと、最高の笑顔をつくってイワシを見つめる。
「何だ。」
と怪訝そうな顔で俺を見る。
「あれが先生の自信作?簡単すぎて…暇潰しにもなんない。」
俺は、棒チョコの棒を投げる。すると、その棒はイワシのご自慢の髪の毛にぶっささった。
静かに見守っていたクラスの奴らもそれを見て爆笑していた。
俺は、騒がしい教室の窓際の席に着き、窓から空を見上げる。
キレイな青空が広がっていた。
今日も平和だな。
あっ。イワシ雲。