ピエロ
side:B
「黒。今日、走りに行こうぜ。」
と無邪気に裕次郎がいう。
行きたいなぁ…けど…今日は、無理だな
「今日は、パスだわ。仮面ライダーを観る日だから。」
そう俺は、仮面ライダーが大好きなのだ。
まぁ、実際今日仮面ライダーを見るつもりはないのだけど
「またかよ。んぢぁまたな。いい加減チームの奴らも寂しがってたぞ。」
と裕次郎がくしゃりと笑いながら言う。
「何?黒また来ねぇの?」
とたまたま通りかかった前髪が目にかかった黒髪美人寛が声をかける。
「うん。またな。今週中には、絶対顔出すし。」
と俺は、ブレザ-の右ポケットからチュッパチャップスを取り出す。
ちなみに、チェリー味。
うん。うまい。
ふと、気になってお気に入りの時計に目を落とすともうすぐで17時をさすところだった。
あれ?約束の時間て17時って…
しまった…
なんという…
とりあえず行こう…
「んぢぁ。チームの奴らにもよろしく言っといて。じゃあね。」
そうして、俺は机がひしめく教室を縫うようにして走っていく。
「黒。じゃあな。」
「明日、マンガもってくるな。」
「黒。バイバイ。」
「新発売のお菓子もってきてやるな。気を付けて帰れよ。」
何ていう。イカツイけど優しいみんなにバイバイしながら走っていく。
そして、放課後になり、ざわつく廊下を久々の全力疾走で駆け抜ける。
うん。運動不足が否めない。
そうして、階段を3つほど登りたどり着いたのは屋上。
"KEEP OUT"
黄色と黒のカラーリングは最強だと思う。
かわいい。
ふっ。と一度息をつき、ドアノブに左手をかけ、ひねる。
そこには、相変わらず真っ白な人物が面白くなさそうに空を見上げていた。
その背中が好きな俺は、ちょっとだけ変わってるのかもしれない。