片思い経由、恋愛行き
「なぁ、このひと、ゆずちゃんのカレシ?」
目が合った男の子に指をさされた。
「違うよー、お友達だよ。瑞樹くんっていう名前だよ」
成海さんは即答。
……なんだか今日はダメージが大きいなぁ…
「瑞希くん、この子はいとこの海斗。小学3年生だよ」
「よろしくな!」
「あ、うん、よろしくね」
成海さんに紹介された海斗くんと軽く握手をした。
俺の胸辺りの身長の海斗くんは、少年特有のさらさらとした髪が風になびいている。
屈託のない笑顔と純粋な素直さが、子供らしくてかわいい。
「おれ、ママがまってるからもうかえる。ゆずちゃんは?」
「うーん、どうしようかな…」
海斗くんにきかれて、成海さんが首を傾げた。
「成海さん、俺のことはもういいよ。一緒に帰ってあげなよ。1人じゃ危ないよ」
きっとここに残っても、さっきの雰囲気が続くだけだろうし…
俺に気遣って迷う彼女にそう声をかける。
「…うん、そうだね。ごめんね」
少しためらいながらも、俺の言葉に頷いてすくっと立ち上がった。