片思い経由、恋愛行き
「…そんなの、思わないわけがないよ」
俺から視線をそらして伏せ目になる成海さん。
「話したいなんて、ずっと思ってたよ…!
もう一度会って、少しでも仲良くなれたらいいなって、毎日のように思ってた」
「……」
「…だから昨日偶然会ったときは、ものすごく嬉しかったんだ」
「……」
「こんな奇跡があるんだって思った」
「……」
嬉しそうな悲しそうな、何とも言えない表情で話す彼女に、俺は何も言ってあげられない。
この数ヶ月間、相手が違えど、同じ思いでいたことにまた胸が締め付けられる。
同時に昨日の成海さんのあの表情が頭に浮かぶ。
そわそわと落ち着きなく、真っ赤に染めた顔。
達也を目の前に緊張しているとしか見えなかった。
「…だけど覚えてもらっていないなんて、ショックだった。
舞い上がっていたのはわたしだけだったんだね…」
そう言って今度は、今にも泣き出しそうな顔をした。