片思い経由、恋愛行き


「…あのね」



彼女に向かって口を開いた。



「実は俺も…成海さんと話したいって思ってたんだ。…初めて見たときからずっと。」


「…え…?」



「だから成海さんが話しかけてくれたとき、俺も奇跡かと思ったよ」


「……」


「勇気を出してあのバスに乗ってよかったなって、今でもそう思う。
あの日をきっかけにこうして友達になれたことが、すごく嬉しいよ」


「……」



今度は成海さんが何も言わなくなった。



俺の話をじっと聞いてくれている。



好きな子相手にこういうことを言うなんて、胸のドキドキがうるさいけど、この際もうそんなことは気にしていられない。




「だからさ、成海さんも勇気を出して行動してみようよ?」



彼女の目を見て言った。
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