片思い経由、恋愛行き
「成海サン、兄貴のことが好きなわけ?」
郁也が突然、直球できいた。
「……」
デリカシーのないその言葉に驚きながらも、真っ赤な顔で俯く成海さん。
その表情が郁也への答えのよう。
「…なぁ、いいこと教えてやるよ」
「…?」
無言の成海さんにかけたのは、意味深げな言葉。
俯いていた彼女の顔が、表に上がった。
「郁也、いいことって何だ?」
気になって俺もきいてみる。
一瞬にやりと俺に向かって笑った郁也は、一間置いて口を開いた。
「…今、兄貴…成海サンのことが気になってるよ」