片思い経由、恋愛行き


…っそうだ、名前…!



仲良くなれるチャンスだ、ちゃんと自己紹介をしておかなければ。



「あの…俺、相楽瑞樹っていうんだ。
…女みたいな名前だけど、俺は男だよ」



改まって自分の存在を示すことに、また胸の鼓動が速まる。



他人じゃない関係になる一歩に、ドキドキが止まらない。



「さがら、みずきくん?
すごくいい名前だと思う」


「そ、そう…かな?」



“すごくいい名前”


彼女の口から俺に向かってそんな言葉が出てくるとは思わなかった。



“瑞樹”って名前、女みたいであまり気に入っていなかったのに。

例えお世辞でも、彼女がそう言ってくれるなら、案外この名前もいいかな、なんて思ってしまう。



…単純かな、俺。

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