片思い経由、恋愛行き


「こんにちは」


「あ、こんにちは。…あなたが瑞樹くん?」


「はい。相楽瑞樹です」



海斗くんママに挨拶をすると、にっこり笑って返してくれた。



「いつも柚音ちゃんとうちの海斗がお世話になっています。
2人ともいつも、瑞樹くん瑞樹くんって話してくれるのよ」


「え、成海さんも…?」


「ええ」



成海さんの叔母にあたるらしい海斗くんママは、どこか笑顔が彼女に似ている。



最近見なかったあの笑顔が、頭の隅でふっと浮かんだ。



「成海さん、俺のことを何て言ってるんですか?」



気になってきいてみた。



「あなたと一緒にいるのが楽しいって、話してくれたわ」



そう言ってうふふと笑う海斗くんママ。



表情を見る限り嘘だとは思えないその言葉に、胸の奥がきゅっと締まる。



会話が弾んだあの時間が、妙に懐かしく思えた。

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