片思い経由、恋愛行き


「ママ。はやくいかないと、ゆずちゃんたちがまってるよ」



俺たちの話をじっと聞いていた海斗くんが、痺れを切らして口を開いた。



「そうね、行きましょう。
瑞樹くん、邪魔しちゃってごめんね」


「あ、いえ、どうせ暇人ですから」



俺の手元を見た海斗くんママに、持っていたビニール袋を見せて笑った。



「これからも2人をよろしくね」


「はい、こちらこそ」



“これからも”…ね。



「みずき、くさむしりがんばれよ!」


「う、うん。成海さんによろしく」


「おう!」



海斗くんが元気に片手を挙げた。



「じゃあ、またね」


「はい、さようなら」



一瞬にっこりと笑って俺に背中を向けた2人は、手を繋いで成海さんの家の方向に歩いて行ってしまった。
< 168 / 290 >

この作品をシェア

pagetop