片思い経由、恋愛行き
「ママ。はやくいかないと、ゆずちゃんたちがまってるよ」
俺たちの話をじっと聞いていた海斗くんが、痺れを切らして口を開いた。
「そうね、行きましょう。
瑞樹くん、邪魔しちゃってごめんね」
「あ、いえ、どうせ暇人ですから」
俺の手元を見た海斗くんママに、持っていたビニール袋を見せて笑った。
「これからも2人をよろしくね」
「はい、こちらこそ」
“これからも”…ね。
「みずき、くさむしりがんばれよ!」
「う、うん。成海さんによろしく」
「おう!」
海斗くんが元気に片手を挙げた。
「じゃあ、またね」
「はい、さようなら」
一瞬にっこりと笑って俺に背中を向けた2人は、手を繋いで成海さんの家の方向に歩いて行ってしまった。