片思い経由、恋愛行き
「海斗クン、やっぱ乗って!」
前を走っていた海斗くんに追いついて、郁也がしゃがむ。
「いくやくんありがとう!!」
雨と汗でぐっしょりと濡れた小さな体が、ガタイのいい広い背中の上に乗った。
「あと10分だ。瑞樹、頑張れよ」
そう言って俺の肩を軽く叩く郁也。
子供1人おぶって一番しんどいのは郁也なのに、笑って俺を励ましてくれる。
「…うん。大丈夫」
本当はすごく辛い。
体も、心も。
だけどもう、走るしかない。
…間に合えば幸い。
例え間に合わなかったとしても、きっと後悔はない。