片思い経由、恋愛行き
「おーい兄ちゃんたち!!そんなに急いでどこに行くんだー?」
突然後ろからそんな声がした。
振り返ってみると、俺たちの方に徐々に近づいてくる“回送”と表示されたバス。
それを見つめていると、ちょうど俺たちの真横で停まってドアが開いた。
「お、おじさん!!」
開いたドアから見えたのは、いつも俺を学校まで運んでくれる運転手さん。
「おー、よく見る顔の少年が走ってると思ったら、兄ちゃんだったよ。
こんなところで何してんだ?」
いつもの豪快な笑顔でそう言う。
「…っあの、すみません!!これ、中央駅まで行きますか!?」
隣にいた郁也が突然、ドアにしがみつくように勢いよく駆け寄ってきた。