片思い経由、恋愛行き


「これは回送だから行かないけど…一体どうしたんだ?」



状況が分からないおじさんが答えて首を傾げる。



「…っ無理を承知でお願いします!!
俺たちを中央駅まで連れて行ってくれませんか…!?」



おいおい…駅には行かないって言ってるのに…



いくら優しいおじさんでも、それは無理だろ。




「1時までに中央駅に行かないと…!
…でないと瑞樹が…っ、こいつの大事な人が…!!」



…郁也…!?



「このまま会えないままなんて、絶対に後悔する!
瑞樹にそんな後悔、させたくないんです…!」



言葉を紡ぐ度にどんどん必死の形相になっていく郁也。



疲れきって、顔を真っ赤にして、それでも俺のためにこんな…








「もう…十分だよ…」



胸が締め付けられて、思いを口にした。



俺のために頑張ってくれる人がいるって、それだけで満足だよ…
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