片思い経由、恋愛行き
「あ、そういえば…」
ふと何かを思い出して郁也が言った。
「ん?」
「その…あれからどうなってんの?…成海サンと」
もうとっくに覚えているはずの時刻表をじっと見ながら、少し気まずそうにきいてくる。
「どうにもなってないよ。あれっきり」
俺はあっさり答えた。
するとふと俺を見た郁也の目が丸くなる。
「…会ってねぇの?」
「うん。だって遠いし」
「電話は?」
「しないよ」
「メールは?」
「全く」
「向こうからも?」
「うん、こないよ」
「……」
淡々と答える俺に対する視線が、少しずつ厳しくなってきた。