片思い経由、恋愛行き
「…お前、何でそんな普通でいられんだよ」
「え?」
「もう2か月程経つだろ。その後が気になったりしないわけ?」
不可解だと言いたげな表情の郁也。
俺は少しだけ微笑んで答えた。
「あの恋はもう終わったんだ。成海さんから連絡がこないってことがその証拠。
…きっと今頃は達也とうまくいっているよ」
…長かったような、短かったような。
成海さんと過ごしたあの時間は、今じゃまるで夢のよう。
彼女がこの街を去ったあの日、あの場所に達也はいなかったけど、きっとうまくやってる。
ずっと憧れていた人と、幸せになっているはずだ。
「…兄貴と…?あいつからそんな話聞かねぇけどな…」
「言いたくないんじゃない?」
「どうだか。…ま、別に興味ないからいいけど」
なんだか腑に落ちないという郁也。
看板にもたれかかって腕を組み、俺をじっと凝視した。