片思い経由、恋愛行き


……どうしてこう、すんなりといかないんだろうか。




もうとっくに忘れたはずなのに、



もうとっくに終わったはずなのに。



胸がきゅっと締まる。





思い出してしまったあの気持ち。



懐かしい、楽しかった2人の時間。




何かが崩壊するように、胸に熱いものがこみ上げてくる。



久々の速い鼓動が少し苦しい。






「…本当に…そう言ってたの?」



自然と自分の声が震えてしまう。



「ああ、本当さ」



ゆっくりと頷いたおじさんは、そう答えてくれた。





「信じられないなら、自分で確かめてみればいいさ」


「え…?」



おじさんの意味深な発言にピンとこないまま、ふと顔をあげる。



それと同時に青信号で走り出し、ゆっくりと角を曲がるバス。





……自分の目を疑った。
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