片思い経由、恋愛行き
「…っうそだろ…!?」
思わず声をあげた。
信じがたいその光景にかぶりつくように見つめる。
前方の窓のその向こう。
この時間が終わることを示す看板の陰で、栗色のボブがふわり。
…俺はあの髪を知っている。
大好きだった、あの姿。
大好きだった、あの空気。
今蘇る確かな記憶に、胸が押しつぶされそう。
どうしてここにいるのか。
誰を待っているのか。
…なんて、そんなことどうでもいい。
会いたかったあの人に、会えてしまった。