片思い経由、恋愛行き
新たな出発
“出会いの後には必ず別れがくる”とは言うけれど。
その逆もあるんじゃないかと俺は思う。
大好きなおじさんと別れて寂しいはずなのに、目の前の人につい心が踊ってしまう。
「久しぶりだね」
「う、うん、…ひさしぶり」
誰もいない停留所で、たどたどしい会話が響く。
心臓のドキドキのせいで、うまく言葉が出ない。
「ふふ、瑞樹くん、何も変わってないや」
そう言って途端に懐かしい笑顔で微笑む女の子。
…俺が大好きな、俺の見たかった、成海さんの笑顔。
もう絶対にないと思っていた光景が、涙が出そうなくらい嬉しい。
あぁやっぱり俺、成海さんが好きなんだな、…って、心から感じる。