片思い経由、恋愛行き
15分程歩けば着いてしまう、瑞樹くんの家。
いつか彼が「こんなに近くに大学があるのに、通えないのは残念だ」って言っていたっけ。
…そりゃそうだ。
だって、わたしが通う学校は、女子大なんだもん。
一度は家族と引越すことになったけど、わたしはこの地域にいたくてこの大学を受験した。
もっとも、目的に合った勉強ができることが第一の理由なんだけど。
小さいキャンパスでもそれなりに施設は充実してるし、何より瑞樹くんにすぐ会える距離なのが嬉しい。
瑞樹くんは隣町の大学に通っているけど、講義が早く終わった日には会うんだよ。
あとひとつ角を曲がれば彼の家。
重病でないことを願いながら、歩を進めた。
―――はずが、次の瞬間にはピタリと止まってしまった。