片思い経由、恋愛行き


「何してんの、成海サン」



仏頂面でわたしに話しかけてくる目の前の人。



「えっと…瑞樹くんが寝込んでるって聞いて心配で…」



抑揚のない彼の声に、どうしても怯えてしまう。





「ふぅん。それは献身的な彼女だこと。…風邪ごときで」




……この人、一言多い。



瑞樹くんはいつも“いい人だ”っていうけど、わたしはどうも苦手だ…



静かな声で淡々と言葉を紡ぐところが特に。






「…そう言うあなたはどうしてここに?」



彼への対抗心も加勢してか、気付けば自然と口が開いていた。
< 263 / 290 >

この作品をシェア

pagetop