片思い経由、恋愛行き
「何してんの、成海サン」
仏頂面でわたしに話しかけてくる目の前の人。
「えっと…瑞樹くんが寝込んでるって聞いて心配で…」
抑揚のない彼の声に、どうしても怯えてしまう。
「ふぅん。それは献身的な彼女だこと。…風邪ごときで」
……この人、一言多い。
瑞樹くんはいつも“いい人だ”っていうけど、わたしはどうも苦手だ…
静かな声で淡々と言葉を紡ぐところが特に。
「…そう言うあなたはどうしてここに?」
彼への対抗心も加勢してか、気付けば自然と口が開いていた。